残業代について③
弁護士の平松です。
残業代の請求については、証拠の確保が問題となる点は先日お話ししました。
今日は、どのような場合に証明が十分として残業代の請求が認められるか、お話ししたいと思います。
1、まず、タイムカードがある場合には、それが最良の証拠であることは間違いありません。
IT化がある程度進んでいる会社では、紙ベースのタイムカードは少なく、端末操作での勤怠システムで管理されていると思いますが、そのデータをプリントアウトしたものでも同じことです。
残業代の請求においては、消滅時効との関係で2年前まで遡ることができるのですが、その2年間分全部のタイムカードが必要なわけではありません。
繁閑の差が激しいお仕事でないかぎり、1か月分だけでもタイムカードがありましたら、その24か月(=2年分)分が未払い分にあたると推定することができ、裁判官もたいていの場合それに従った心証をとってくれます。
また、たとえご自身で1枚もタイムカードを確保してないときでも、弁護士が介入して会社にタイムカードの開示を請求しましたら、たいての場合は会社側の弁護士が開示に応じ、たとえ応じない場合にも、労働審判等の場になれば、審判官(=裁判官)からの開示を要請されて、結局開示されることになります。
なので、タイムカード(ないし勤怠システム)で管理している会社に対しては、残業代を請求できる可能性が確実に高いといえます。
2.次に有力な証拠としては、PCのログ(いつログインしログアウトしたか)のデータが挙げられます。
タイムカードと同様に客観的なものとして、やはり信用性は高いと思われます。
ただ、タイムカードと異なり、従業員を管理するためのものでなく、たとえここから所定の時間外に事業所(=会社)にいたことが証明されても、事業主が残業を認識しておらず、業務命令に基づかない労働である、と卑屈な認定をする裁判官も存在するので、タイムカードに比べると信用性は落ちると思われます。
3.ログとともに客観性が認められるものとしては、メールの履歴が挙げられます。
業務メールが一番望ましいのですが、その日時に業務をしていた証拠にはなりますが、業務開始・終了のメールを毎日していないかぎり、出退勤時刻の証明にはならない、という難点があります。
一方で、ご家族に当てた私的メール(奥さんに宛てた「今仕事が終わったから帰るよ。」といったもの)も有効ではありますが、毎日そのようなメールをしていて、かつそれを保存している、という方はさほど多くないと思われますし、辞める直前に実態と異なるものを意図的に作成したと見られる余地があるので、やはりタイムカードに比べると証明力は落ちるといえます。
今日はこのくらいにして、続きはまた後日お話したいと思います。








