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2012年3月 7日 (水)

残業代について③

弁護士の平松です。

残業代の請求については、証拠の確保が問題となる点は先日お話ししました。

今日は、どのような場合に証明が十分として残業代の請求が認められるか、お話ししたいと思います。

1、まず、タイムカードがある場合には、それが最良の証拠であることは間違いありません。

IT化がある程度進んでいる会社では、紙ベースのタイムカードは少なく、端末操作での勤怠システムで管理されていると思いますが、そのデータをプリントアウトしたものでも同じことです。

残業代の請求においては、消滅時効との関係で2年前まで遡ることができるのですが、その2年間分全部のタイムカードが必要なわけではありません。

繁閑の差が激しいお仕事でないかぎり、1か月分だけでもタイムカードがありましたら、その24か月(=2年分)分が未払い分にあたると推定することができ、裁判官もたいていの場合それに従った心証をとってくれます。

また、たとえご自身で1枚もタイムカードを確保してないときでも、弁護士が介入して会社にタイムカードの開示を請求しましたら、たいての場合は会社側の弁護士が開示に応じ、たとえ応じない場合にも、労働審判等の場になれば、審判官(=裁判官)からの開示を要請されて、結局開示されることになります。

なので、タイムカード(ないし勤怠システム)で管理している会社に対しては、残業代を請求できる可能性が確実に高いといえます。

2.次に有力な証拠としては、PCのログ(いつログインしログアウトしたか)のデータが挙げられます。

タイムカードと同様に客観的なものとして、やはり信用性は高いと思われます。

ただ、タイムカードと異なり、従業員を管理するためのものでなく、たとえここから所定の時間外に事業所(=会社)にいたことが証明されても、事業主が残業を認識しておらず、業務命令に基づかない労働である、と卑屈な認定をする裁判官も存在するので、タイムカードに比べると信用性は落ちると思われます。

3.ログとともに客観性が認められるものとしては、メールの履歴が挙げられます。

業務メールが一番望ましいのですが、その日時に業務をしていた証拠にはなりますが、業務開始・終了のメールを毎日していないかぎり、出退勤時刻の証明にはならない、という難点があります。

一方で、ご家族に当てた私的メール(奥さんに宛てた「今仕事が終わったから帰るよ。」といったもの)も有効ではありますが、毎日そのようなメールをしていて、かつそれを保存している、という方はさほど多くないと思われますし、辞める直前に実態と異なるものを意図的に作成したと見られる余地があるので、やはりタイムカードに比べると証明力は落ちるといえます。

今日はこのくらいにして、続きはまた後日お話したいと思います。

残業代について③

弁護士の平松です。

残業代の請求については、証拠の確保が問題となる点は先日お話ししました。

今日は、どのような場合に証明が十分として残業代の請求が認められるか、お話ししたいと思います。

1、まず、タイムカードがある場合には、それが最良の証拠であることは間違いありません。

IT化がある程度進んでいる会社では、紙ベースのタイムカードは少なく、端末操作での勤怠システムで管理されていると思いますが、そのデータをプリントアウトしたものでも同じことです。

残業代の請求においては、消滅時効との関係で2年前まで遡ることができるのですが、その2年間分全部のタイムカードが必要なわけではありません。

繁閑の差が激しいお仕事でないかぎり、1か月分だけでもタイムカードがありましたら、その24か月(=2年分)分が未払い分にあたると推定することができ、裁判官もたいていの場合それに従った心証をとってくれます。

また、たとえご自身で1枚もタイムカードを確保してないときでも、弁護士が介入して会社にタイムカードの開示を請求しましたら、たいての場合は会社側の弁護士が開示に応じ、たとえ応じない場合にも、労働審判等の場になれば、審判官(=裁判官)からの開示を要請されて、結局開示されることになります。

なので、タイムカード(ないし勤怠システム)で管理している会社に対しては、残業代を請求できる可能性が確実に高いといえます。

2.次に有力な証拠としては、PCのログ(いつログインしログアウトしたか)のデータが挙げられます。

タイムカードと同様に客観的なものとして、やはり信用性は高いと思われます。

ただ、タイムカードと異なり、従業員を管理するためのものでなく、たとえここから所定の時間外に事業所(=会社)にいたことが証明されても、事業主が残業を認識しておらず、業務命令に基づかない労働である、と卑屈な認定をする裁判官も存在するので、タイムカードに比べると信用性は落ちると思われます。

3.ログとともに客観性が認められるものとしては、メールの履歴が挙げられます。

業務メールが一番望ましいのですが、その日時に業務をしていた証拠にはなりますが、業務開始・終了のメールを毎日していないかぎり、出退勤時刻の証明にはならない、という難点があります。

一方で、ご家族に当てた私的メール(奥さんに宛てた「今仕事が終わったから帰るよ。」といったもの)も有効ではありますが、毎日そのようなメールをしていて、かつそれを保存している、という方はさほど多くないと思われますし、辞める直前に実態と異なるものを意図的に作成したと見られる余地があるので、やはりタイムカードに比べると証明力は落ちるといえます。

今日はこのくらいにして、続きはまた後日お話したいと思います。

2012年2月21日 (火)

残業代について②

弁護士の平松です。

今日は労働事件の中身についてお話ししたいと思います。

当事務所で解雇と並んで受任件数が多いのが

残業代の相談

であります。

どのような場合に残業代が支給されるか、という点について、WEB等で皆さんもある程度お分かりになってきていると思いますが、

定時前または定時後に労働をした事実

があれば、会社は原則として残業代を支給しなければなりません。

ただ、日本の会社において、厳密にこのような残業代を支給しているところがどれだけあるでしょうか。

私が労働問題を専門にしようとしたきっかけは、労働基準法を勉強した際に、法律上は当然支給されるべき残業代が、日本の会社においては当たり前のように支給されていないことを実感したことにあります。

当時は、「過払い金」「債務整理」ということばが少しずつ出始めた頃でしたが、払い過ぎたものが利息か労働力かの違いはあれ、もらって当然のものを取り戻す点はどちらも同じで、残業代についても過払い金返還請求と同様に弁護士として仕事のニーズが大いにあると感じていました。

それから数年経ち、私と同じように残業代について目をつける弁護士が徐々に出てきて、一部では

残業代バブルが起こる

などと真しやかに言う人も出てきましたが、それについては

NO

というのが、私のみならず当事務所所属の弁護士、さらには東京地裁の某裁判官の共通した意見です。

その理由はいくつかありますが、大きな理由として、

残業をした事実の証拠の確保が困難であること

があることは間違いありません。

すなわち、債務整理における過払い金返還請求では、業者に対して、いついくら貸していついくら返したかの表である

取引履歴

の保存ないし開示が法的に義務付けられているのですが、一般の会社において、従業員の勤怠をタイムカードで記録することが、法的な義務とまではなっていないのです。

なので、タイムカード等で勤怠がしっかり管理されている会社に対しては、残業代を請求しやすいのですが、これを管理していないいい加減な会社に対して、残業代を請求しずらい、というジレンマがあるのです。

これを克服するような画期的な最高裁判例が出れば事情は大きく変わるのですが、現在のところ、そのような判例が出そうだという話は聞いたことがありません。

それえはそのようなジレンマの中で、労働者の皆さんはどのようにして残業をした事実を証明していくか、次回からお話ししたいと思います。

2012年2月 6日 (月)

裁判官について②

弁護士の平松です。

今日は先日に続き裁判官についてお話ししたいと思います。

私がお客さんにお勧めするとともに、現実によく使っている手続きである

労働審判

というのは、通常の訴訟手続きと異なる面が多く、その詳細はいろいろな文献やHPをご覧になっていただければ分かるのですが、一番の違いといいますと、

口頭で話をまとめる

ことの比重が非常に高いということです。

といいますのも、通常の訴訟手続きでは弁護士が作成した「準備書面」という文書と証拠をもとに裁判官が心証を形成していき、和解を勧告しつつもまとまらなかった場合に、

証人調べ

という手続きを行なって、はじめて当事者の話を直接聞く、という形になります。

すなわち、書面と証拠ベースで手続きが進みます。

これに対して、労働審判は、「労働審判手続申立書」「答弁書」という書面を出発点としつつも、最初の期日から当事者を呼んで裁判官が直接話を訊き、話をまとめていきますので、

口頭でのやり取り

の比重が訴訟より大きいのです。

そして、裁判官にも、①書面と証拠の分析が得意な裁判官と、②和解ないし調停で話をまとめることが得意な裁判官に分けるとしますと、労働審判では②のタイプの裁判官が明らかに有利です。

すなわち、司法試験や司法研修所で優秀とされる①のタイプの裁判官と異なる②の裁判官が、労働審判では結果を残すと言えるのです。

②のタイプの裁判官とは、いわゆる「人間力」がある人を指すと思われます。

調停の場において、法理論だけでなく、会社の社長のメンツを立てることや、解雇された従業員の気持ちをくむようなこともするのです。

そのようなことを言われますと、依頼者の方も納得せざるを得なくなるのです。

東京地裁のS裁判官がその典型ですが、そのような裁判官に当たりますと、ほぼ確実に依頼者に感謝される結果になります(Sさんは①のタイプでもありますが。)

労働審判は進め方が特殊なので、ある程度手続に慣れないと調停でまとめることが難しいので、そのような意味でも②のような裁判官は、事件数が圧倒的に多い東京地裁に多いといえます。

裁判官の話はこれくらいにして、次回はまた労働事件の中身についてお話ししたいと思います。

2012年1月31日 (火)

裁判官について

弁護士の平松です。

鹿児島事務所と名古屋事務所開設で多忙を極め、また更新がおざなりになってしまいました(苦笑、ちなみに明日が名古屋事務所の開業日です。)。

今までは労働審判の中身についてお話ししましたが、今日は

裁判官

についてお話ししたいと思います。

私がお客さんから事件の依頼を受けるときに話すのは

私の予想では~となりますが、裁判官には当たり外れがありますので、結果の保証はできません

ということです。

弁護士からすれば極めて当たり前のことですが、一般の方にはなかなか理解しずらいところのようです。

要するに、日本の裁判において、それだけ個々の裁判官の裁量が広く自由な心証形成ができるとともに、優秀な裁判官もいればそうでない裁判官もいる、ということであります。

では、どうすれば優秀な裁判官(ここでいう「優秀」とは、社会的な常識と判例に沿った判断をしてくれる裁判官と定義します。)に出会えるのでしょうか。

その答えは私が教えてほしいのですが(笑)、一般論として申しますと、やはり地方よりも都市部の方が優秀な裁判官に出会える確率が高いと思われます。

これは、裁判官の出世システムによるところもありますが(裁判官として出世していても、さきほどの「優秀な裁判官」の定義に当てはまるとはかぎられません。)、都市部だと

労働専門部

という裁判部があり、そこの裁判官は労働事件しか担当しない、という点が大きいと思われます(当然、労働事件の経験も知識も精通している裁判官が多くなります。)。

東京地裁の民事11部・19部・36部、千葉地裁の民事1部、横浜地裁の第7民事部、大阪地裁の第5民事部、福岡地裁の第5民事部がこれにあたります。

これに準じるものとして、

労働集中部

という裁判部があり、私も詳細はよくわかりませんが、労働審判はすべてこの部の裁判官に割り当てられるが、この裁判官は労働事件以外の事件も担当する、ということだと思います(ちなみに、労働集中部の労働審判で決裂した場合には、この部以外の部の裁判官が訴訟を担当するようです。)。

さいたま地裁、広島地裁、札幌地裁にこれがあるようですが、私はほとんどが上記の労働専門部で労働審判を申し立てているので、詳細はわかりません。

なので、地方で働いている方が労働審判を申し立てる場合、地元の地裁で申し立てることもできるのですが、本社が東京にあれば東京地裁に申し立てることができるので、後者の方法をお勧めする次第であります。

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